ニッポンノワール 6話 考察…もうやめて、視点変えよう

「覚醒編」始動と銘打たれた6話。何に覚醒するのか?こうなったら、宇宙を征服する勢いでSFに傾いていってほしいと思う。○○編と言ってしまうと、これから覚醒しますよー、覚悟はいいですかー?と、まるで手品で鳩を出す前に、今から鳩がでますよーと種明かしをしているようなもの。今から胴体割れますけど、手品ですからね?と、言っている様なもの。種明かしされないからこその驚きがあるのに。そこを上手く隠していけばいいのに、隠していないあたり、何か意図があるのでしょう。

ハリウッド映画でも、スターウォーズに観られるように「○○編」とか、最近ですと、バットマンの人気悪役「JOKER」の映画化のような、なんとか編がたくさんあります。少年漫画などでは、あるあるパターン。戦いのフィールドや世界が変わると大抵「○○編」に突入していきます。古くからよくある手法です。ですがそれは、最初の1本があって「人気が出たから」できる技であり、短いスパンな上に急にテンションあげて「○○編」とやられてしまうと、えっ?となってしまいます。最初から2部制ですよと言うならまだしも、いきなりです。しらんがな…。という話。しかも、戦いも世界も変わっていない。戦う相手もよくわからない。2部制にするのであれば、最低何かひとつを終息させ、次のステージへ行かないと、切り替わりがわからない。ずるずると引きずったままの事ばかりで、○○編と銘打ったのはどうなのかしら?と思います。

 

刑事から○○へ

 ただ、ステージが大きく変わったものも、勿論ありました。遊佐の立ち位置です。ここは正直、1話目からそうなる(逃亡生活)だろ!と言いたい事ですが、なぜか刑事復帰していた前半戦でした。後半戦の逃亡生活に向けて必要だったのでしょう。克喜を遊佐に預けなければならない。そうなると、遊佐が刑事として行動するほうが都合がいい。みたいに受け止められかねません。結局逃亡するんかい。でしたし。

判りやすいのは、遊佐の服装。ここは、初回から意識して作られていたのだと思いますが、どうみても「あぶない刑事」

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ご覧の通り、遊佐(左)と才門(右)

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関係ありませんが、Wowwowで昔放送された「あぶない刑事にヨロシク」

水城警部(皆川猿時さん)もあぶない刑事。

と、それはいいのです。

 

前半は刑事たる「遊佐清春」でした。

 

覚醒編?になると、刑事と言う立場が揺らぎ始める遊佐。じゃあ一体何に?

あからさまなハンチング帽とマフラーにコート。こういうスタイルも、あるあるスタイル。そう古今東西、このスタイルは「探偵スタイル」なのです。

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※歴代・金田一の中でも、個人的に飛びぬけて好きだった「石坂版・金田一」 いつか、横溝正史先生の事もブログで書いてみたい。

 

ここから観るに、遊佐は「刑事」から「探偵」になったと見て取れます。決して「逃亡者」なスタイルではないのです。むしろ金田一になるための、チリチリヘアーと言っても過言ではありません。松田優作と思わせておいて~からの、金田一です。優作は赤シャツでなくてはダメです。じゃあ髭は?となるのですが、髭の生えた名探偵「エルキュール・ポアロ」を忘れてはいけません。彼も、帽子にコート(ただし、探偵の中でも非常にスタイリッシュ)です。遊佐は、昔ながらの探偵スタイルを、踏襲していると言っていいでしょう。だから、現代においてどこか「ダサカッコイイ」的な服装になっています。

 

仮面ライダーかよ

ニッポンノワールを観ていると、誰もが思う事。仮面ライダーかよ。私は特撮ヒーロー物には明るくないので、語ることはできないのですが、うっすらとした記憶の中に、特撮ヒーローでも仮面ライダーとは違うものがあったなぁと、思い出しました。

宇宙刑事モノ」です。そう、特撮ヒーローにも「刑事」がいました。

調べてみると、非常に面白いヒーローが居ました。その名も「ロボット刑事」です。

ja.wikipedia.org

ロボット刑事は「刑事K」です。Yではありません。Kです。ロボット刑事の名前が「K」なので、Kです。アルファベットでKは16番目。なのでYは17番目のケース。数十年ブランクがありますが、まぁいいのです。しかもKの次はLではなくYです。これも別にいいのです。とにかく、Yは17番目です。

 

ーあらすじー

ある夜、密室殺人事件が発生。それは人間にはとても不可能な状況での犯行だった。捜査する芝と新條の前に、一人の刑事が現れる。彼はロボットで自らをKと名乗り、犯人もロボットであることを告げる。事件の背後に、犯罪ロボットレンタル組織「バドー」が存在することが明らかになり、芝たちとK(人間とロボット)のチームの、バドーに対する戦いが始まった。

ニッポンノワールと、似てるといえば似ているような設定です。しかもこのお話、バドーが悪の権化ではなく、その裏に「マザー」と言われる組織があるとか。

 

ロボット刑事Kは、退職間近のベテラン刑事「芝やん」と、バディーを組むことになります。芝やんは、文明の利器が大嫌い。長年の刑事の経験と勘、そして地道な捜査に拘る刑事。反面Kは、あらゆるテクノロジーを駆使して、あっという間に事件を解決していきます。

詳しくは、こちらのブログに書かれておられますので、一読のしていただければと思います。

kazeandsoraand.blog.fc2.com

 

才門は言いました。「人間らしさとは何だ?」と。

欠点があっても、そこがチャーミングなんだよな。

機械を扱うのは人間です。扱い方ひとつで、悪にも正義にもなる。しかも、悪と正義の線引きは非常に曖昧で、だれかにとっての正義は悪で、その逆もしかりだったりします。ロボットである「K」は、彼が一番の憧れであった人間の「感情」と戦います。

様々な読み取りのできる、素晴らしい作品だなぁと、感想を読んだだけではありますが、純粋にそう思いました。

 

ニッポンノワールに置き換えてみると、大黒幕は「碓氷薫」となってしまいます。芝やんは遊佐、ロボットKは克喜。

芝やんの設定的に、喜一あたりが当てはまりそうですが、それですとKがいません。遊佐がそうなのかもしれませんが。

そもそも碓氷薫自体が、ロボットかもしれませんし、こうなったら全員ロボットでも驚きません。

遊佐の記憶でも、未成年を使って強盗をさせ、碓氷班で取り押さえるつもりだった。と薫は言っていました。なんか、もやる計画です。だれがそんな計画に乗るねん…。と。つかまる前提で犯罪行為するバカが、この世にいるんかい。と。高齢者で身寄りがないとかなら、まだわかりますが、未来のある未成年です。刑務所に自ら入る必要ないでしょってなります。やっぱり、色々と粗雑です。

 

バイトと偽って、地下組織で~のくだりも、合格通知だしたまではいいですが、警察病院のエレベーターで、地下組織にいける「秘密の暗号」を、合格通知と同封の書類に書いて「こうやってきてください」とかご丁寧に送るとか、バカなのか?としか思えません。そいつが本当に来るかどうかわかんねーだろ…。

極めつけは「奥のパソコンで…」のくだり。才門なんでしってるんや!となります。100歩譲って「薫からきいたんだ」でもいいでしょう。そこまで聞いてるなら、もう全部しってんだろ。となりますし、逆にUSBとか置いておく意味わかんねぇわってなります。というか、USBメモリーには意味のあるものが入っているのではなく、何かの起動装置という可能性も否定できません。アレを挿すことで、何かのスイッチが入った。人類補完計画でも始まるのでしょう。

 

地下での戦いは、面白いものがいくつも出てきました。それこそ90年代あたりのアニメにありそうな…そういった演出がみてとれますし、子供ブロイラー的なものもありました。

警戒色の中に、最初は、3人が同じ枠内にいます。当初は誰が味方か敵なのかわからない。むしろ何もわかっていない状態のドラマ序盤。途中で、ガスマスク男と遊佐:才門というように、線引きがされて立つシーンがありました。これは、ガスマスクと遊佐が仲間となり、その対立軸に才門がいた。と読み取れます。そのあと、遊佐と才門が協力し合い、警戒色を線に、遊佐と才門:ガスマスクといった構図になります。ここでやっと、今はガスマスクが敵であり、才門が遊佐側だという暗喩だと捉えられます。

ガスマスクの正体は、最初仲間だと思っていた人物…。皆さんが想像通りの人かもですし、違うかもしれません。くわえて才門は、ガスマスクがナイフを持っていることを知っているのです。なんだかそれっぽい格好をした人いましたよね。1話でやたらと、ギャーギャー言ってた奴。あいつは信用できません。でも多分、NN的には噛ませ犬なので、別にいいです。

影でしかありませんが、回る換気扇のようなものが壁に映っていました。これは「輪るピングドラム」でも見たものです。子供ブロイラーという、透明な存在になったものが、送られる場所。愛を消費された子供は粉々にされてしまう。まさに、透明な存在になったベルムズに所属する未成年の子供たちが、そこの地下組織に居るという暗喩にも受け止められるシーンでした。

才門の「チャーハン」のシーン。このパターンかよ。という感じで、オチもそうでしょうなぁとなる所ですが、ここで忘れてはいけないのが明海です。明海は、婚約者がうんぬん言っていましたが、今は才門のことを好きでいるのは明白です。女の嫉妬は怖い。しかも相手は死んでいるのです。勝てるわけがない。憎しみに変わっても無理はありません。明海の部屋は、刑事とは思えないほどに高級感漂う作りでした。モノトーンでまとめられていて、非常にオシャレ。テーブルの椅子も黒と白。明海は黒の椅子に、自分のコートを掛け、鞄を置いていました。黒は闇です。多分闇オチしています。明海は、ガルムフェニックスの件で、嘘の情報を公安等々に流した風にみえましたが(本当の情報はこっちと南武に教えた)、またその裏の根底では、裏切っている可能性があります。そして結局、要~となるのでしょう。あまり難しい役どころではなく、多分死にます。さよなら明海

人体実験?らしきことをしていたわりには、しょぼいラボ。いいのです。そう言う世界なのですから。

 

 

全てが、遊佐を誘導しているにすぎず、都合よく流れています。ひとつひとつが粗雑。どうでもいいことだから。綿密にする必要がないのです。あくまでも、遊佐というプレイヤーが、真実?とやらに近づけばいいのです。

ですので、ガスマスクの中身は、遊佐のクローンでもなんでもいいのです。もしかしたら、遊佐の本体は、大きな脳みそかもしれません。マモーです。遺伝子操作をされていて覚醒をしたら、スーパーサイヤ人になるかもしれません。想定内です。

 

言いたい事は「人間らしさ」と「扱う側のリテラシー」だと思います。クローンだろうが、遺伝子操作で生物兵器を作ろうが、その奥にはそれを欲する「人間」がいるのです。そういった感情を持つのが人間です。

没個性になっていく…というのは、いつの時代にだってあると思います。抑圧されていく自由も同じく。人体実験をされ、人格的なものも制御されているようです。自由を抑圧されて、操られている状態。克喜も元々は、気性の荒い子と薫は言っていました。たとえそうであっても、それは克喜の個性です。本来ならば、抑圧されるべきものではない。本当の人格と自由を、克喜は取り戻せるのでしょうか。

 

お風呂場で、遊佐の背中を克喜が流すシーンがありました。遊佐が言います。もし…よかったら一緒に住むか。と。克喜は嬉しそうに、本当ですか!?と答えます。このフラグは、遊佐側ではなく、克喜側なのでしょう。遊佐にとって、父性の芽生えを覚えた「自分の子(暫定)」です。それを亡くす痛みは、計り知れません。覚醒するとしたら、もうココしかない。守るべきものは、遊佐にとって克喜のみですから。背中を流すというのは、お互いの信頼関係の現われだったり、血縁の有無に関わらず絆を結んでいる表現だと思います。

また、病室に居た克喜は、トランプでタワーを作っていました。遊佐は「上手いなお前」と褒めます。トランプで作るタワーは家。克喜が軸となり、家(家庭)が作れた。でも遊佐は、上手くできない。しかもトランプで作っていますから、非常に不安定であり、すぐに倒れてしまいます。上手く作れたとしても、すぐに壊れてしまう儚さと危うさがあります。実際、公安が来た時、トランプタワーは崩れてしまっていました。遊佐と克喜が一緒に…というのは、難しい結末が待っているのでしょう。

 

約束したはずなのに。生きろ!!と。何があっても、生きろ!こういったのに。

母を殺したのも、克喜でしょう。あなたが母を殺したのですか?いや、お前だよ。という話。

なぜそんなことができるのか。克喜は、ロボット刑事で言う所のロボットKだから。マザーは薫だから。

遊佐が庇いたいと思う人、薫が守りたいと思う人。共通しているのは克喜。なぜ、遊佐は山小屋でああいう状態だったのか?NNの仕業ならば、遊佐も殺せばいいのです。でもそうしなかった。遊佐自身が大事なのではなく、克喜が大事なのです。被験者として、NN側からしても、重要な立ち位置にあるのでしょう。克喜が母の顔が~と言っていたことや、誕生日に祝ってもらっていないというのも、遊佐同様確実に記憶に問題があると思います。どうして克喜が薫を撃ったのか?は、戦うべき相手だったから?

というより、もしこれだとしたら、放送的にOUTな気も。

 

ロボットだろうが、クローンだろうが生物兵器だろうがなんだろうが、本当の「欠陥品」は、扱う側の人間ではないでしょうか。欠点があるからチャーミングなんだよな。です。欠点にもよりけりだわ。そんなもの。

 

個人的には、この流れは一番の欝パターンで、それなら、マモーでしたとかスーパーサイヤ人になりました。のほうが、突っ込めてマシな気がします。

納得はできないですし、そこで子供使うなよ…と思ってしまうと思います。最初の克喜の棒演技も、わざとならすげーなと思うと、序盤に書きました。まさにそのままで、わざとの棒だった。Kだから。

喜一がやっていることは、芝やんのその先なのかもしれません。ロボットを認められなかった芝ヤン。ですが、だんだんとKの中に、純粋な思いや人間よりも澄んだ思いを見出していく。親子という形の、薫と克喜の「愛」を、見守る形で薫に手を貸した気がします。

本当の悪が存在しているとしたら、それは人間の黒い欲望なのだと思います。

 

次回7話、どう展開していくのか。ここまできたら、最後まで見守ろうと思います。