ニッポンノワール 6話を前に~
5話で、一番に書きたかったこと。
喜志はこういいました。
「これまでの罪をちゃんと償いてぇ」と。
そして命の炎が消える間際「次はもっと笑って生きてぇなぁ」と。
薫は、DVDでこう話しています。
「道理に背いてでも、成し遂げなければならないことがある」
果たして、本当にそう思っていたのでしょうか?喜志の言葉を聞くと、罪を抱えたまま生きる事が、その人にとって重く辛い事であるとわかります。
この対比となる台詞は、非常に印象的です。
喜志自身、仲間を守る術は自分が全て罪を被ることだと思ったのでしょう。だから、警察署内に単独で乗り込んだ。ですがそれは、ただ庇うだけで、何の解決にもならない事を喜志自身が一番理解していたはずです。
結局、刑期を裏から操作してもらった変わりに、喜志は大きな代償を払いました。出てからも、不本意なまま協力させられていました。ただの駒でしかありません。
1話で、山小屋で目を覚ました遊佐は、一番に喜志の所へ行きました。ということは、喜志が「不法に釈放」されていたことを認識しているはず。
南武が裏から手を回して釈放したとして、なぜ?偽造パスポートを作らせる為?こうだとすると、時系列がおかしくなります。遊佐はなぜ、喜志が釈放されていることをしっているのか。
喜志はなぜ、釈放されたのでしょうか。このあたりで堂々巡りです。
南武が裏から手を回し…だったはずです。何の為?今わかっているのは、偽造パスポートを作った事。何の為に偽造パスポートを?薫が、国外へ行けとチケットを用意していたから。
ここで大きな矛盾が。
南武は、10日に「明日の夕方、どこかで会えないか?10億円強奪事件の事で話がある」と、薫のスマホに留守電が残っています。
深夜便で日本を発っているはず。渡航チケットも、2枚あったのか?なぜ、江國と一緒に?
実際には、南武は渡航していません。克喜の病院の件があったから。なら、留守番電話に残すべきメッセージは、10億円事件のことではなく、克喜の件。そして、薫からしてみたら、渡航してくれとお願いしたのに、南武は渡航していない。留守電が本物であれば、薫は「なぜ?」と思うでしょう。そもそも、南武の回想が本当であれば。
留守電が偽者であれば、なぜそんな留守電が必要だったのか?
南武の回想が嘘であれば、なぜそんな嘘が必要なのか?
留守電が嘘の場合、いつの時点で嘘の留守電を仕込めたのか。真犯人としては、スマホという証拠満載のものをなるべく隠滅したいはず。なのに実際は、そのまま現場に放置していました。結果的に遊佐が持って帰っています。
だとすると、最初から「偽者」のスマホを仕込んでいた。と考えるのが自然です。元から、遊佐に持って返らせるつもりだった。もし、持って帰らなくても誰かが、スマホを見ること前提だったのかもしれません。
遊佐を犯人にしたかったのではなく、犯人を捏造する為に動かす役?として、遊佐が必要だった。だから、遊佐を殺さなかった。才門へのメールも偽装ということに。
では、南武の回想が嘘だった場合。南武は何故、スマホを処分しなかったのでしょうか。
5話ED。ガスマスクは、NNに電話をしていました。NNって個人なの?という話ですが、NNの誰かという事なのでしょうか。
4話までみていて、電話相手はその人の「愛しいと思う人」なのではないのかな?と思いましたが、ガスマスクの愛しい人がNNというのは、う…うん、そっか…。という気分にしかなりません。しかも、通話するではなく、シャドーボクシング?だか、太極拳?だかを、エアでしているだけ。怖いんですけど!ってなります。話しながら、特訓していたかもしれませんが。
今度こそ、色々と動きそうですが。残り5話しかありませんし、ここでウダウダしている時間も無いでしょう。
前5話までは、どちらかというと異化効果しかなく、気持ちも乗せられない・置いていかれる感を覚える作りになっていたと思います。ソレを次は同化させることで、どこまで共感・共鳴できるのか?
同化したあとの裏切りではなく、異化からの同化ですので、感動系に持っていきたいんだろうなぁとは思います。それが吉とでるか、凶とでるか。
ニッポンノワール自体、ある意味「アドベンチャーゲーム」の「マルチエンディングシステム」の様な感じもします。私たちが見ているのは、真のEDなのか、それとも?みたいな。ですので、分岐がいくつもあって、一生懸命「主人公たるプレイヤー遊佐」が、手がかりや人とのつながりを追っていくストーリー。故に、ばらばらばらばらとあれやこれやと伏線らしきものがばら撒かれていて、1本の道筋が見えてこない。
もし、ニッポンノワールというドラマが、物凄く跳ねたら、アドベンチャーゲーム的な展開もできたかもしれません。シナリオ自体は…ですが。どうしても、画面外から観ている目があるように思えますし。刑事ドラマで「カメ止め」方式は、ないだろうとおもいつつ、ところどころに見える「うそ臭さ」が気になります。