第4話「私はキスをもらえない」
王国中の愛を弟のみるん王子に奪われた「るる姫」。彼女はみるんを憎んでいた。自分のために「約束のキス」を探し、蜂蜜の壺がそれだと言って渡すみるんを冷たくあしらう。そこに思わぬ悲劇が起こり、るる姫は虚しさに包まれた。深い後悔のなか、彼女は銀子に出会う。そして光をもらった。二人がヒトの世界へ旅立つまでの物語。~公式より~
4話は、るるの過去を寓話風にした、サブストーリー的な回でした。るるの弟「みるん」の存在が、とても愛おしく、胸打つ回でもあります。
この回では、ライフセクシーがストーリーテラーとして出てきます。おとぎ話を読むかのように。
その中でるるとみるんの会話で、みるんがるるに
「ねぇ、本物のスキは約束のキスになるって本当?」
と聞きます。鬱陶しさを感じているのもあからさまな表情で、るるは「本当よ。」と答え
「本物のスキはは、天に昇ってお星様になるのです」と続けます。
その時、流れ星がひとつ落ちていきます。それを見たみるんは、「僕がおねえたまに、約束のキスをとってきてあげる!」と言い「僕はおねえたまが大好きだから、今の流れ星は僕のスキなんだ。どこかに落ちてるはず」と嬉しそうに、飛び跳ねます。このときるるは、一連の殺害計画(?)を思いつきます。
るるが何度と無く口にする「デザイア」。この言葉を聞いて想いだされるのは、あの歌姫。その名曲を彷彿とさせるようなギャグパートが前半、これでもか!というほど繰り返されます。
♪真っ逆さまに落ちてDesire
炎のように燃えてDesire
星のかけらを掴めDesire
夢はそうよ見る前に醒めてしまったら
なんにも ならない~♪
ダンボール箱に、幾度も詰め込まれ「愛」と書かれた紙をぺったんと貼り付けられ、あるときは崖から突き落とされ、あるときはあり地獄へ突き落とされ、ある時はマグマの中(?!)へ以下略。その度にるるは「デザイア」「今度こそデザイア」と、殺る気まんまん。
ですが、みるん王子は「不死身か!!」と言う具合に、舞い戻ってくるのです。その手には「約束のキス」を持って。
この前段階、るるが4歳くらいの頃、いわゆる「小惑星クマリア」の爆発があり、熊王国にも、たくさんの流星が落ちてきていました。それと同時にみるん王子が誕生した。というエピソードが語られています。みるん王子が生まれる前までは、時期王女になるだろうるるに、国民全部が夢中だったのですが、みるんの登場によって一転します。皆、みるんに夢中。
「あいつじゃまじゃまじゃまーだわ…」
話全体が、寓話風なので、実際にあった過去なのか、デフォルメしたものなのか。というのが掴み難い回ではあります。が、それを差し引いても、わかり易さ、共感しやすさという点では、とても引き込まれる回でした。誰しも、家族に鬱陶しさを感じた経験は少なからずあるはずで、るるとみるんに置いても、それは例外ではありません。るるは、今まで独り占めしてきた周囲の愛情が、みるんが誕生したために、独り占めにできなくなり、その事で孤独感を感じたのかもしれません。
ただ、天使の様に無垢に無邪気に、みるんは姉のるるに対して愛情表現をします。何度も何度も酷い目にあいながらも、約束のキスと言う名の、小瓶に入れた蜂蜜を持って帰ってきて、るるに「これが約束のキスだよ!ねぇねぇキスして!」と笑顔で差し出します。これを観る限り、弟みるんは姉のるるに対して、無条件の愛情を差し出していたのだと思います。
るるは、そんな弟が差し出した約束のキスを
「イライラいらなーい!!」と、窓からはるか彼方へと投げ捨ててしまいます。
こんなことを繰り返していたのですが、ある日、みるんは蜂に刺されて、天に召されてしまいます。侍女曰く、いつもの様に大好きなるるの為に蜂蜜をとるんだ!と言い、蜂の巣に近づいたら蜂に刺されたと。ある意味、るるが願った通りになるのですが…。
後半、紅羽の家で、お粥を作るるると窓の修理をする銀子。
るる曰く、特別な蜂蜜入りのお粥で、がうとろな美味しさだよと紅羽に差し出しますが、紅羽はそのお粥を払い捨ててしまいます。そう、るるが昔みるんが差し出した物をそうしたかのように。紅羽は紅羽で、純花が居なくなってからさらに、心を硬くしてしまっているようです。純花以外は、友達を作らない。私はスキを諦めない!と言った様に。それに付け加え、3話での百合園蜜子との対決がかなり堪えているようで、学校も休んでいる様子。人が熊に、いや、熊が人に変身している事実。これも飲み込めていないのに、クラスメイトとして接してきた百合園蜜子という「ヒト」を殺してしまった。という事実。
るるが、紅羽に「友達だよ」と言いますが「どうせあなたたちも、透明になったのでしょう?」と紅羽は、突っぱねます。
この辺り、透明な嵐や、透明になる。という事に、ものすごく違和感と言いますか、もやもやします。同調圧力みたいな物だとは思うのですが、とても具体的過ぎる。同調圧力というよりも、この透明な嵐と言うもの自体が孤立して、ひとつの事象として存在しているような印象をうけるのです。多数派に圧力をかけられて、そうでなければならない(多数派に属さなければならない)少数派。という構図がまったくみえてきません。それどころか、少数派として描かれていたのが、紅羽と純花な訳ですが、その少数派でさえ、皆の投票で決めているのです。透明な存在にならない、透明に属さない人を。そのターゲットを選ぶ決め手は今の所ですが、「スキを諦めない人」「空気を読めない人=悪」と言う点しか提示されていません。空気が読めない=悪としていますが、この場合、空気が読めないと言うよりも、透明になりなさい。と勧誘されて、それを断ったからターゲットにされている様に思えるのです。まさしく、勧誘に答えたら「透明になる」断ったら「透明に属さない」と言う風に。これは同調圧力なのか?と思う反面、透明にならなければ、閉じられた世界(学校)ではうまくやっていけない。という意識は、確実にあるとは思います。でもこれだけならば、協調性のある子もいるだろうし、そうでない子もいる。皆が皆、同じ意見に同調するというのは、なかなか難しいはずです。そういうのは嫌だから、関わらない。という選択肢もあるはずなのです。でも、透明な嵐の場合、そういったタイプの存在は今の所皆無です。目に見えない所か、思い切り存在感をアピールしまくりな「透明な嵐」あからさますぎるのです。
そこに、同調圧力的なものとすることに、大きな違和感を覚えてなりません。この先、透明な嵐は、去っていくのか。去っていくのであれば、どういった形でさっていくのか気になる所ではあります。
そして、物語は終盤になり、銀子とるるの出会いのシーンへとなります。銀子は、その手に黄金色に輝く蜂蜜入りの小瓶を「これは君の?」と、るるに差し出します。
とまどいながらも、それを受け取ったるる。
そのとき、るるの頬には涙が流れます。彼女は最初から気づいていたのです。
「私は最初からあなたが大嫌いで、最初からあなたが大好きだった」
「おねえたま。約束だよ!キスして」
ここで、断絶のコートへと落ちていくるる。そして願います。自分をヒトにしてほしいと。
そう願うるるに対して、ライフセクシーは問います。「あなたは好きを諦めますか?キスを諦めますか?」と。るるは即答します。「スキを諦めない。キスを諦めます!」
るるのキスはもう、失われている。もう願っても戻ってこないのだと。そして、銀子と一緒に「断絶の壁」を越えて、銀子のキスをかなえたいと願います。それが、たとえエゴといわれようとも、自己満足といわれようとも。そうすることで、もう一度あの子に会える気がするから。
なんとなくですが、人魚姫を彷彿としました。人になるために、何かを犠牲にし、自分が属する場所とは違う場所へと旅立つ。そこで、願いを叶える。
るるの悲願ともいえるのではないでしょうか。
スキに関しては、そのまま「好き」と言う感情だと思います。好きだと思うこと、それを諦めないと言う事は、自分の中でならば、貫いた意志の強さだったりするかと思います。ただ、これが第三者を絡めた場合、恋愛の好きなどになると、意味合いが違ってくると思うのです。そして、キスは一人ではできない。相手があって、しかもその相手と気持ちを共有しないと、できない行為です。一方的な好きでは、キスはできないはずです。
でも幾度と出てくる「約束のキス」
みるんもるるに、おねだりします。約束のキスをして!と。ですが、るるはみるんにキスをしません。みるんは、約束のキスをるるから、貰ってはいないのです。
この回でも、るるの周りを飛ぶ蜂の存在や、スキとキス、罪というような、様々な謎がでてきます。
蜂に関しては、今後、出てくるように思いますが、もしかすると出てこない可能性も無きにしも非ずで…。
個人的には、公式でも紹介されている「針島薫」あたりが、苗字からすると、針をもつ蜂になりえるのかもしれない。と思っています。
あと、ふと…ですが、「空の青と海の青」が思い浮かびました。これ!という理由はないのですが。海の青は、空の青の反射で、境界線は無い。というような事。同じ世界なんだよという言葉。実際は光の反射で、七色の中で青が海の水に混じらず、まっすぐに進んで行き、色々な方向へ散らばる為に、目には青に見えるというような感じなのです。理数系が大の苦手の私は、上手く説明ができてませんが><
なんとなくとしか言い様がない情けのない状態です><熊の世界と人間の世界が、断絶の壁が境界になってますが、なんとなく空と海の関係に似てるなぁと思った次第です…。本編にはあまり関係のない、本当に戯言ですが^^;
「失った物を忘れてしまったら、本当に無くしてしまうよ」
~追記~
ユリ、承認
これは、ユリ=人なのかな?と思っていたのですが、4話まで出てきた人から熊へ変身する人には皆、苗字に「百合」がついてました。
この「ユリ承認」のユリは、人になるために百合の名前を冠した苗字を貰う事も兼ねてたのかな?と思います。
という事は、人から熊へなるのではなく、熊から人へなっている訳で、元々は熊の世界の住人だった人達。ということに。そして、熊同士は基本的に同じ熊種族であるということを、嗅ぎ切れない様です。
ここで、私の中で…ではありますが、大きな謎が二つ出てきます。銀子とるる以外で、熊に変身したのは、百合園蜜子と百合川このみ。この二人です。蜜子は、学園内で「透明な嵐」をいわば利用していました。このみが消えた後、鬼山江梨子が「排除の儀」の議長を蜜子に申し出ます。この事から、前任者はこのみだったという事がわかります。蜜子が、透明な嵐を利用していた理由は、透明でない子を食べたいから。このみの場合は、蜜子への占有欲から蜜子の為に、透明な嵐を主導していたのかもしれません。この二人はわかるのですが、この二人が消えた後も、透明な嵐という得たいの知れない物を置き、排除の儀と称して、ゲームを続けています。何のためなのか。排除対象を決めなければ行けないと言う、はっきりした理由がまだわかりません。透明な嵐とは、人間社会のものなのか、熊世界のものなのか、両方なのか、それとも同調圧力の結果の産物なのか。何だかモヤモヤが拭えないのですが、3話で言及したのが全て。という物だとしたら、同調圧力的な産物というのが一番近いかもしれません。
もうひとつは、蜜子とこのみは、何の為に断絶の壁を越えてきたのか?という事です。もし、断絶のコートがユリ=人になり、苗字を貰うための物であるならば、この二人も裁判をしているはずです。そして、銀子とるるは「罪ぐまだから」と繰り返しています。蜜子とこのみも、何か熊世界で罪を犯したのでしょうか?そして、何かしらの犠牲を払って断絶の壁を越えたのでしょうか?蜜子とこのみが、断絶の壁を越えてきたのであれば、その理由が謎です。このみの場合は、蜜子を想うがあまり…という理由があるかもしれませんが…。