ユリ熊嵐 12話(最終話)~ユリ熊嵐~その2

Bパートは、現時間の紅羽が被告に立っている所から始まりました。

セクシーに問われます。

「被告人椿輝紅羽。あなたは自らの罪を認めますか?」

「認めます。私はかつて、傲慢の罪を犯し、銀子をヒトの女の子にして欲しいと願いました」

f:id:rarafoutune:20150401230424j:plain紅羽の言葉に、「え?」と言う様な顔をする、クールとビューティー。

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「それで…透明な嵐の中、あなたの望むモノは見つかりましたか?」

普段よりも、優しく紅羽に問いかけるセクシー。

「はい…。ある女の子が…」

 

ここで、回想が入ります。

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「私に教えてくれました。私は…私の望むモノ…ホンモノのスキを見つけました!!」

瞬間、セクシーが木槌を打ち、紅羽を捕らえて居たKMTG印の手錠が外れます。

 

「純花…ありがとう」

 

 

場所は断絶のコートから、学園屋上へと移ります。紅羽の手錠は、断絶のコートと同じく粉々に砕け落ちます。

「もう…怖くない。スキを忘れなければ、いつだって一人じゃない。スキを諦めなければ、何かを失っても透明にはならないっ…だから…私は、嵐の中に飛び込む!!」

紅羽の言葉を聞いた、クマタギ隊の生徒達はざわめき始めます。信じられない。といった所なのでしょうか。

蝶子は、たじろき「なっ…なんなのよ!」と言います。

蝶子には、紅羽の行動が理解できないのかも?ですが、私がその場にいても、一瞬「え?」となるかも知れません…。なので、蝶子さん、なんでわかんないかなぁーと言う風には見れないと言うか。私たちは、銀子・紅羽・るるを中心とした目線で見ていますから、蝶子の馬鹿!!となるかもですが、蝶子さん視点からすると「??」なのも、わからなくも無いのです。

 

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「るるちゃん、ありがとう。私、この星を…ホンモノのスキを、銀子に届けるよ」

紅羽の心の声。純花へのありがとう。るるへのありがとう。透明な嵐が吹き荒れる、生き辛い世界の中でも、彼女たちを暖かく見守るモノの存在は確かに居ました。決して一人ぼっちではありませんでした。

 

そして銀子の方へ歩き出す紅羽。「くっくるな…」と、紅羽を止めようとする銀子。エコクマ砲の焦点は、紅羽を狙い定め始めます。が…。メカこのみのエネルギーは、充填されず、減速していきます。

紅羽は、歩みを止めません。

「あなたは、私のトモダチ」

銀子は、必死に止めようとします。

 

f:id:rarafoutune:20150401234922j:plain「違う。お前はトモダチなんかじゃない、がうがう。私はヒト食いクマ。一人かぶとの銀子。お前を食べにきた。よせっ…やめろ!早く私を撃て!でないと、みんな食ってやる!私は罪グマだ!がうがう!!」

 

必死に言いますが、紅羽の靴音は止まりません。そして、とうとう銀この前まで、紅羽は到達しました。

「銀子」「だめだ…紅羽っ…」

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「やっと…見つけた」

そういうと、紅羽は銀子のその胸に、星のペンダントを付けます。

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そしてその後紅羽は、やっと銀子に対し、優しい笑顔を向けました。

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「お願いがあります!クマリア様!」

紅羽が言った途端、どこからとも無く幾本もの光の柱が、立ち始めます。

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建築現場には、ジャッジメンズの姿が。光の柱を見たクールが「おお!クマリア様がっ!」続いてビューティー「お姿を取り戻されるっ」

締めは勿論「それでは我々も行くとするか…」微笑みながら、セクシーが。

てか、どこへ行くの?!

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「これぞ、セクシー!シャバダ!ドドウッ!」

f:id:rarafoutune:20150402000546j:plain「まさに、クール!」

f:id:rarafoutune:20150402000633j:plain「キラキラァ~!」

 

ジャッジメンズは、星となり、どこかへ飛んで行きます。

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そう、まさにもう一度、クマリア流星群が降り注いでいるかの様に。宇宙から降り注いで来ている星々は、一箇所に集中して降り注いでいます。

そしてそれは…

f:id:rarafoutune:20150402001140j:plainクマリア様として、姿を現しました。とうとう出現しました。

目の前に現れたクマリア様は

f:id:rarafoutune:20150402001324j:plainそう、純花の姿をしていました。紅羽に「ホンモノのスキ」を教えてくれた純花。降臨したクマリアオブザ純花は、紅羽に問います。

「あなたのスキはホンモノ?」

「ホンモノです」

強い信念と覚悟を秘めた瞳で、紅羽は即答しました。

そして、トモダチの扉が鏡に変わり、そこには絵本の中の紅羽…月の娘が映ります。

f:id:rarafoutune:20150402001827j:plain「私は…私を…っ 砕く!!」

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「クマリア様っ!どうか私を!クマにしてください!!!」

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鏡を打ち抜き、砕いた紅羽。それを後ろから見ていたクマリア様は…。

 

「ユリ、承認」

と、手元にユリを出し、その百合は星屑となり、降り注ぎ始めます。

上から降り注いだ星は、百合の花びらとなって、紅羽の手元に落ちます。

f:id:rarafoutune:20150402002709j:plainいくつもの百合が降り注ぎ…。

f:id:rarafoutune:20150402002830j:plainマタギ隊の生徒達の下にも、百合が降り注ぎます。「わぁ…」「綺麗ー」と言うような声が、あちらこちらからしているように聞こえます。

ですが、蝶子はぶれません。

「なんなの?!」

起きている事が、全くわからない。という感じです。でしょうね!私もその場にいたらきっと(略

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次の瞬間、蝶子は驚愕の表情をします。蝶子たちの目に映ったのは…

 

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「紅羽…なんてことを…」

「銀子。スキを忘れないでくれていてありがとう」

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銀子も、ウィニングモードに変わっています。

 

正直、紅羽のウィニングモードは、すっごく可愛い!このために、とっておいたの?!と思うくらいに、可愛かった。ただ、1点だけ…1点だけもう個人的趣味なのかもですが…ガーターベルトは、やめて欲しかったかなぁ^^;大人っぽさの演出だったのかもですが>< ヒト状態での紅羽が、黒ストッキングだったからかも?それならもう、黒ストッキングでよかった…。ガーターは…。そこに気が向いてしまって…。でも、すごく可愛い!

 

この後、きっと観ていた人は、こらえ切れなくなったのではないでしょうか。

「あなたに、約束のキスを…」

紅羽は、銀子にやっと…やっと…約束のキスを捧げました。

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瞬間、銀子の目からは、涙が溢れ流れ落ちます。心が溶ける様に。本当にここは、なんて表現したらいいのか…。ただ一言「よかったね」と、涙しながら見ているだけだった。としか言えない位、銀子の涙がたまらなかった。

 

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そして今回、トップに持ってきた絵になります。追い討ちを掛けるように、涙が零れました。幼少期の銀子と紅羽。本来ならば、こんなに遠回りせずとも、一緒に居れたのかもしれません。ですが、二人は遠回りしながらも、お互いのスキを忘れなかった。

「私達、これからはずっと一緒よ」「ずっと一緒だ!がうがうっ」

頬すりあいながら、嬉し涙を浮かべ笑い合う幼い姿の二人。

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花びらがゆっくりと 二人を包むよ 星の夜に。

前回のるるの旅立ちの際にも、花びらが包んでいました。今回も、やはり花びらが、二人を包んでいます。星の中で。

そして、銀子と紅羽はひとつの百合の花となります。

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その中で、紅羽は…「ユリ、承認」の掛け声と共に、完全なクマとなりました。頭の上には椿の花を模した冠を載せています。

 

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断絶の壁の模様が、どんどん替わっていきます。トモダチの扉へと。そしてあの、システマチックな動きをし始めます。ガチッガチッガチと音を鳴らしながら。

 

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「チョ…チョー…信じられない…ヒトが…クマになるなんて…」

蝶子が驚愕し、今起きた現実を把握しきれない間にも、後ろの扉のシステムは動き続けています。まるで…そこに居る子たちの心の動揺を表すかのように。ですが蝶子はぶれません。

「なんて…おぞましいの!」

蝶子の立場からすると、クラスメートがクマに食べられているのです。命を何人もが落としているのです。それを考えると、蝶子の言っている事は否定は出来ません。ヒトはクマを撃ち、クマはヒトを捕食した。憎み、忌み嫌うだけの理由を、お互い…彼女たちは持ってはいるのです。

 

f:id:rarafoutune:20150402011013j:plainメカこのみは、自身がクマだからか、銀子と紅羽を見て、涙しています。「ゲスゥゥ…」

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そんなメカこのみを見た撃子は

「私達…もう撃てませんっ」と言ってしまいます。エコクマ砲も、しおれてしまいました。

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「なにしてるの…あれはもう…ヒトではない…クマだ!クマは悪だ!悪は排除しなければならない!」

蝶子の言葉に、クマタギ隊たちは銃口を、銀子と紅羽に向けますが…。その先は震えています。トモダチの扉のシステムは、まだ動いています。

「迷うな!!」叫ぶ蝶子。激しく動き出す扉のシステム。「考えるな!」さらに叫ぶ蝶子。止まらない扉のシステムと、震える銃口の先達。そして…百合の花がしたに落ちた時、蝶子は、思い切り叫びました。

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「撃てぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!」

 

緊迫しているシーンだったのに、このときの蝶子。なんだか凄く筋肉質に見えるんですが…。私はそこが気になってしまって、何度見てもそれしか思い浮かばなくて…。

 

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蝶子の叫びに反応したかのように、扉のシステムがピタリと止まりました。

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直後、響く銃声。舞い散る百合の花びらと薬莢。

 

断絶の壁の模様は、元のハニカム構造のデザインに戻っていました。

どうやら、この断絶の壁は、人の心の現われ?なのかも知れません。だから、いつまでも建設中でもあり、バラバラに聳え立っている。心が開かれようとすると、トモダチの扉が開いたように、壁も崩れて行くのかもですが…。

 

 

場所は、嵐が丘学園の日常に戻ります。

そして、壇上に立っているのは蝶子。「私達は、この学園にはびこっていた、恐ろしい悪の排除に成功したのです!」

f:id:rarafoutune:20150402013036j:plain蝶子の演説を聴きながら、スポットライトが、撃子へと当てられています。

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「私たちは、透明な存在でなければなりません。それでは、排除の儀を始めましょう!」

 

えっ!悪は排除したのではなかったのでしょうか?まだ、排除の儀は続いているのですね…。

「トモダチは何より大事ですよね」

また、あの件の繰り返し。スポットライトは撃子に当てられたまま…

 

場面は、あの日の回想へと変わります。そう、紅羽がクマになることを選択し、銃声が響いたあの時。

 

「撃てぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

と言う蝶子の叫びの後…

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一斉に、猟銃が火を噴きます。物凄い数の銃弾が飛んで行きました。

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あまりの数に、その場が煙に包まれています。その煙に咳き込む撃子。

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ですが、その煙の中で彼女が見たものは

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クマリア様のもとへと伸びる梯子。手を取り合って旅立とうとしている、銀子と紅羽の姿でした。スキの星に導かれて…。

 

蝶子の演説はまだ続いています。演説というよりも、お決まりの排除の儀の台詞です。あの時の事を思い出した撃子は…

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立ち上がり、その場から去って行きました。撃子が向かった先は

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あの百合花壇の場所。そこは黄色のテープが巻かれ、ユリーカの執務室にあった箱が山積みになって捨てられていました。その中には、動作不良と書かれたメカこのみも。

「ゲスっグスッウウッ」

泣いています。メカと言えども、心は持っている。と言う事なのかも?です。

そんなメカこのみを、撃子が見つけます。

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「見つけたよ」

 

ここで「あの森で待ってる」が流れます。なんて素晴らしいタイミングなのか!

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私と来て。私にはあなたが必要なの。と言ったフランス語の歌詞が、よりシーンを素晴らしく彩っています。

12話まで見てきて、本当にこの「あの森で待ってる」が、ユリ熊嵐という作品と、どれだけリンクしていたのか、どれ程の彩りを挿していたのか、考えるだけでもゾクゾクとします。

 

歌が始まったと同時に、場面が変わります。観ていた私たちが、待ち望んでいたシーンがそこにはありました。

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「こうして、約束のキスを果たした二人は、スキの星に導かれ、断絶を越えて旅立ちました」

るるが、みるんに絵本を読んであげています。るるが読んでいるのは、澪愛の書いた「月の娘と森の娘」なのか、それとも銀子と紅羽が生き語った「月の娘と森の娘」なのか。どちらでも、いいのかも知れません。どっちでもいいのです。そこを突き詰めるとかは、それこそ「無粋」です。

「ねぇねぇ、おねえたま。それで二人はどうなったの?」

ねぇ。気になるよね。

「どうなったのかな。みるんはどう思う?」

「んー…わかんないや。でも、ひとつわかった事があるんだぁ」

みるんの手元には、るるの特別で大事なスキの証、蜂蜜がありました。

「なあに?」

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「ちゅっ」るるの頬に、キスをするみるん。頬を染めたるる。

「約束のキス、僕からすればよかったんだ!」

なんて可愛いのでしょう!!がうとろな可愛さ!抱きしめてむぎゅーっとしたくなります。

「みるん…」

「ねっ?」

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みるんの問いかけに、一瞬「ハッ」とした表情を浮かべて、その後、微笑んだるる。

「ずっと一緒だよ」

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「うんっ!」それに笑顔で答えるみるん。

「おねえたま。だぁーいすきっ」

もう、可愛くて可愛くて。赤いるるの蜂は、みるんを中に入れて、ぐるぐると飛び回っていました。

 

「ありがとう」

 

 

そして場面は、地球(?)を越えて、宇宙(?)へと。

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クマリア様(純花)の声がします。

「娘たちの行く先は、誰も知りません。でも、それでいいのです。世界はあなたのスキで目覚め、変わっていくモノなのですから」

 

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 j'ai besoin de toi

 

 

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柔らかな充実感と、大きな寂しさが心をよぎりまくりました。

 

終わった後、しばらく放心状態で、未だに何から書こうか、分からない状態から抜けきれません。

銀子と紅羽はどうなったのか。それは観ている人それぞれが、真実を持っていると思います。ただ、ユリ熊嵐の中で描かれていたシーンを見る限りでは、天に昇っていますので、もしかすると、星座的な扱いでもアリなのかな?と思います。

 

前回の11話でライフ・セクシーが「クマリア様は消滅しました」と言いました。それがクマリア流星群となって…。これだけ見ると、諸悪の権化はクマリア流星群じゃないの?と思えます。それがおきたから、クマが一斉決起し、襲うようになって…壁が出来て…。見たいに。

ですが私たちの知りえる「神」という存在も、同じ様なものじゃないのかな?と思えるのです。

実際に、そこに実物として存在している訳でもない。もしかすると、時がたてばその存在さえも、忘れ去られてしまうかもしれない。そうなると、誰も「承認」しないから、存在しないものとなる。

これを踏まえて、クマリア流星群を考えてみると、ユリ熊嵐の世界では、クマとヒトが断絶される前は共存できていた。ですが、断絶の日を境にそれが不可となる。この断絶の日というのは、○月○日というように明確なものではなく、ヒトとクマがお互いの「エゴ」を剥き出しにし始めて、お互いのルールを作り出し、結果「壁」ができた事で、だれもクマリア様の本当の意味や存在を「承認」しなくなったからでは?と思います。

誰も認めない、誰も覚えていないのですから、そこにクマリア様という存在は、無くなってしまいます。ヒトであれクマであれ、自身の都合の良い様に、神を作り出せる。その時々できっと、形を変えていく存在なのかも知れません。

価値観など時がたてば変わるもので、普遍的な物などないのです。歴史がそれを証明しているように。なぜ共存できていたのに、出来なくなったのか。もし、共存できる世界が来たとしても、それが絶対的な平和でもなく、絶対的な価値観にもなりません。壁が無い事で、また新たな問題が出てくるかもしれません。その結果また、壁を作らなければ。となり得る訳で、いつでも壁は出来るだろうと思います。

クマリア様が「ホンモノのスキ」を司る女神であるとするならば、その存在を欲している存在があるとするならば…。それはそこに「存在」しているはずです。澪愛やユリーカ、銀子や紅羽、そして、その姿を見たヒト達は、間違いなくその存在を「承認」したのです。そうすることで、クマリアは存在できる。

きっと、願い求める者には、手を差し伸べるのかもしれません。

紅羽の見たクマリア様は、純花の姿をしていましたが、純花がクマリア様になったのではなく、本当のスキという感情を、紅羽に教えてくれたヒトとして彼女の中で「昇華」できたのだと思います。神と言う存在に、絶対的な姿、皆共通した姿、真実の姿などないのですから。あったとしても、誰も知りえないのです。求める人それぞれが描く姿、それが「真実の姿」であるのではないでしょうか。

銀子や紅羽には、澪愛も「スキ」の道標を残してくれていました。二人が再び出会い、スキを見つけてくれるように。

 

奇跡を信じる者には、奇跡は訪れる。ですが、何もしないのに、勝手に降り注ぐ事はありません。何かしらの行動を自身がするからこそ、奇跡と呼ばれるモノが舞い降りるのでしょうし。

誰かが望めば、クマリア様は現れる。と言う感じなのかな?と思います。ただ単に願う・望むのではなく、それまでの道のりで、何をしたのか?何が出来たのか?というのが大事なのであって、それがないと望んでもきっと、クマリア様は現れないでしょう。

 

クマとヒトが、ヒトになったりクマになったりするの?!と言うお話ですが、ギリシャ神話などをみたら、当たり前の様に、姿をコロコロ変えています。ですが、それを「なんで?!」と思う方は居ないのでは?と思います。それは「神話」だから。御伽噺も同じです。それは「御伽噺」だから。フィクションです。だから誰も疑問に思わない。ユリ熊嵐は、現実にある事柄を組み入れて居られるので、その線引きが物凄く曖昧になってしまうのですが、最初から…放送前から堂々公言なさっていました。

 

「恋人たちを巡る 現代の神話」

 

神話なのです。だからといって、フィクションでしょ?と片付けるのではなく、そこには今居る私たちがそれぞれ突き刺さる様な事柄も、いくつも見出せるかと思います。神話自体も、その時生きてきた人々の知恵や思い、価値観が反映されていたりします。そこには、真実が隠れていたりもします。それがユリ熊嵐における「現代の神話」という形になったのではないでしょうか。今いる私達も、神話を生きている。それぞれが神話を持っている。ですので、ファンタジー世界の物語と言うのではなく、あくまでも「神話」なのです。

 

何故紅羽は、クマになりたいと願ったのか。これはもう、ヒトだからとかクマだからとか、超越した。と言うしかありません。どちらの存在でもいい。ただただ、銀子と居たい。でも紅羽は幼いとはいえ、罪を犯した。傲慢の罪を。銀子をヒトの女の子にしてくださいと、自分の価値観の中で願ってしまった。そして、銀子はそれをも受け入れてくれたのです。今度は自分が、クマになることで、銀子の価値観を受け入れた。お互いがお互いの価値観を受け入れ、与え合う事で、ホンモノのスキの証明としたのではないでしょうか。

虚構が蔓延る世界の中で、真実を見出す事の難しさ。そこに混じると、見つけ出す事さえも、難しくなる。でも、スキを諦めなければ、透明にならない。本物の好きを見つけ出せる。打ち破るのは自分自身。いつだって自分の鏡は、自分が打ち破るしかありません。

 

るるとみるんが居た場所は、二人がずっと一緒に居れる場所。きっと素敵な場所なのでしょうね。

生あるものは、生を失った後の世界は知りえません。現生のように皆が同じ世界枠に存在しているのかも、違う世界枠で存在するのかも。ですが、ユリ熊嵐においては、生ある時に望んだ事が叶う世界と言う描かれ方を、されていたと思います。ですので、澪愛やユリーカも、どこかの世界枠で二人でいるのかもです。蜜子だって、どこかに存在しているのかも。銀子と紅羽は、二人で居る事を望んだ。だから、どこかの世界枠に二人で存在しているのだと思います。

 

撃子さんは、このみを見つけましたが、これからあの二人には大きな壁が立ちはだかるのでしょう。撃子がこのみに抱いた感情は「愛情」なのか「同情」なのか。銀子と紅羽に触発されたのか。そのあたりは分かりません。ですが、透明な嵐の中にも、色々な子がいて「排除の儀」に疑問を抱く人も間違いなく居る。と言う事も提示されたように思います。いつまでも、同じシステムは続かないのでしょう。エゴの押し付けは、いつかしわ寄せが来ます。

「娘たちの行く先は、誰も知りません。でも、それでいいのです。世界はあなたのスキで目覚め、変わっていくモノなのですから」

 

そう御伽噺では、いつだってお姫様は、王子様のキスで目覚め、愛を得るのです。愛があるからこそ、行動できるのです。

ですがユリ熊嵐においては、どちらが王子様で、どちらがお姫様というのは勿論ありませんでしたし、どちらかが待っているだけでもありませんでした。お互いが傷つき、お互いが葛藤し、お互いが迷いながらも得られたキス。銀子と紅羽の頭に載せてある王冠やティアラ。誰しもが、お姫様であり、王子様であり。御伽噺の様な甘いもんじゃないけれど、でもいつだって、甘い甘いキスは手にできる。自分がスキを忘れなければ。自分がスキを諦めなければ。例え、透明な嵐が吹き荒れようとも。強い想いと、強い願いを失わなければ。

皆が、王子様でお姫様。物語の主人公。モノを語る者である。神話である。私はそう、受け止めました。

 

「あなたのスキはホンモノ?」

もしホンモノであるならば。自分自身が映る鏡を打ち破れたのであれば…

「世界はあなたのスキで目覚め、変わっていくモノなのですから」

 

そして、12話で幾度となく繰り返された言葉。

 

「ありがとう」

 

 

 

 

この3ヶ月間、1週間が待ち遠しくて仕方ありませんでした。何年ぶりだっただろうというくらい、ワクワクした日々でした。

最初「ユリ熊嵐」とタイトルを耳にした時、大丈夫なの!?と心配にもなりました^^; 幾原監督が新作をおつくりになる!と聞いてからと言うもの、どんなお話なんだろう!きっと、綺麗で儚くて、どこをとっても美しい物になるんだろうな!と勝手に妄想していましたから…w

ですが、最初に出てきたのは、クマ?!なにそれ!人を食う?!なにそれ!でした。加えて、ユリ?!え!どういうこと?!ともなりました。

ユリはまだわからなくもなかったのですが…。でも、ぶっちゃけですが…。幾原監督の描かれる男性達も、見たかった…。冬芽や冠葉が好きだったので><

 

銀子は、どことなく冠葉を彷彿とした部分もありました。不器用だけど、まっすぐで、まっすぐすぎるから周りが見えなくて。それでも、どこかに弱さを持っていて、その弱さを隠そうとするけれども、本当は誰かに縋りたかった。でもやっぱり、強くなきゃいけなかった。そんなイメージが相当かぶりました。だからかして、銀子は「女の子」と言うよりは「少年」な印象が相当強く、私にはですが植えつけられました。

 

紅羽は、感情移入の出来にくいキャラクターでした。彼女の心が掴み取れないのもありましたが、彼女を中心として描かれている世界のはずなのに、彼女の行動がぶれていた。信念がぶれているとかではなく、物語の中で、フラフラしている様に映ったのかもです。掘り下げ的なものも、抽象的だったせいもあるかも?ですが。

 

るるは、ギャル子から物凄く感情豊かで、健気な子に印象が凄く変わったキャラクターでした。4話のるるをみてから、グッと彼女が好きになりました。銀子が蜂蜜を届けて、涙しながら「最初から大嫌いで、最初から大好きだった」と言われたとき、本当に感動しました。るるの「最初から~」が、一番私には理解できて、しっくり来た台詞です。彼女あってこその、ユリ熊嵐だったように思います。

 

何もかもが、素晴らしく仕上がっていたユリ熊嵐。小さな謎は残されたまま(私の中で)ですが、いつかその答えも見つけ出せたら…と思いますが、きっとそのままにしておいたほうがいいのかもですね。

本当に本当に、充実した時間と、素晴らしい作品をありがとうございました!

心から、感謝しかありません。

 

幾原監督の次回作を待ち望みながら…。