月の娘と森の娘~絵本~

 

f:id:rarafoutune:20150212063927j:plain「月の娘と森の娘」

 

f:id:rarafoutune:20150212063303j:plain昔 世界は空によって 二つに分けられていました

 

f:id:rarafoutune:20150212064207j:plain月の世界と 森の世界です

 

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ある日のこと 月の娘は お母さんの大切なペンダントを

森に落としてしまいました。

 

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それを見つけたのは 森の娘でした。

 

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キラキラと輝くその星に驚いて 森の娘は思わず 空を仰ぎ見ました。

 

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森の娘は言いました。

「きっと あの空の向こうには 素晴らしい世界があるに 違いない」

 

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その頃 月の娘も同じように 森の世界を気にかけていました。月の娘は言いました。

「お母さんのペンダントはどこ?探しに行かなければならないわ」

 

f:id:rarafoutune:20150212065019j:plainこうして 月の娘と森の娘は 来る日も来る日も 空を見続けました。

 

f:id:rarafoutune:20150212065156j:plainそして ついに二人は 空を司る女神であるクマリア様に お願いをしました。

 

f:id:rarafoutune:20150212065336j:plain月の娘は祈ります。

「クマリア様。私はどうしても 空の向こうへ行って お母さんのペンダントを 見つけたいのです」

 

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森の娘も祈ります。

「クマリア様。私はどうしても 空の向こうへ行って この星を落とした人に届けたいのです」

 

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クマリア様は言いました。

「いけません。二つの世界は 断絶されているのです。それを越えようとするのは傲慢 大きな罪ですよ」

 

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なおも二人は祈ります。

「それでも私は 空の向こうへ 行きたいのです」

やむなく クマリア様は こう答えました。

 

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「ひとつだけ 願いを叶える方法があります。

 

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空の真ん中に 友達の扉と呼ばれる場所があります。

 

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もし あなたのスキが本物なら その扉の向こうに 友達が待っています。その娘に 約束のキスを与えなさい。そうすれば 願いは叶うでしょう」

 

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クマリア様は 娘たちに問いました。

 

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「あなたのスキは 本物?」

 

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クマリア様は 娘たちのために

 

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世界を結ぶ 梯子を掛けてやりました。

 

f:id:rarafoutune:20150212071411j:plainそして とうとう二人が 空の真ん中にやって来た時

 

f:id:rarafoutune:20150212071527j:plainそこには 一枚の大きな鏡が 壁のように立ちはだかっていました。鏡には 自分自身の姿が 映っています。

 

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クマリア様の声がしました。

「さぁ その扉の向こうに あなたの友達が待っています。鏡に映る己が身を 千に砕き 万に引き裂けば 彼女に約束のキスを 与えられるでしょう」

 

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「ただし あなたは命を失うかも知れません」

 

f:id:rarafoutune:20150212072110j:plain「最後に もう一度問います。あなたのスキは 本物?」

 

f:id:rarafoutune:20150212072412j:plain二人は 鏡に映る 自分の姿を見つめます。

 

 

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とても素敵なお話です。続きがとっても気になります。このお話は、この物語の本質に、かなり迫った物だと思います。

 

絵本に描かれた「月の娘」は紅羽。「森の娘」は銀子。澪愛からの二人への贈り物。と言った感じかもしれません。

この絵本は未完です。完成する前に、澪愛は熊に殺されたから。と紅羽は言っています。

 

この絵本を書き出した時期が不明ではありますが、もしかしたら、銀子と紅羽が何らかの理由で会えなくなり、寂しがる紅羽の為に書いてあげたものなのかな?と思います。

2話で、声だけの回想ではありますが、澪愛は幼少時の紅羽にこう言っています。

「紅羽。今日もお友達と仲良くできた?どうしたの?元気ないわね。悲しい顔しないで。紅羽はあの子の事が大好きなのよね。大丈夫。きっとまたあの子に会えるから。紅羽が本当に会いたいと、強く願うなら」

澪愛一人の台詞ですが、本来ならここに、紅羽の台詞もあるんだと思います。紅羽と銀子が会えなくなった理由を、紅羽が語っているか泣いているのか、どちらかだと思います。だから、悲しい顔になっていた。元気がなかった。なので、スキを諦めず、会いたいと強く願えば会えるんだよ。と言う事を、絵本を通して紅羽に伝えたかったのかもしれません。

 

絵本で興味深いのは、鏡の存在と星のペンダント,それと友達の扉です。

鏡は反転世界。面白いなぁと思ったのは、月・森の娘両方とも、空があるのに、森の娘はそらを「見上げる」 月の娘は空を「見下ろす」格好で描かれています。私達の概念だと、そらは上にあるものですが、月の娘からみたら、空は見下ろすものなんだなぁ。というのが印象的でした。

鏡の世界はなぜ反転しているのか。実は反転しているのではなく、見ている人の問題。というのをどこかで読んだ記憶があります。鏡の裏側に回ると、反転はしていない。というような感じの事。ここでは、あまり関係なさそうなので、素直に鏡に映る自分。として受け止めたほうがよさそうではあります。

 

何故澪愛は、大きな鏡の壁を描いたのか。そしてそれを壊さなければ、会えないと書いたのか。千に…万に…鏡に映る己が身を裂いて…と。絵本としては少々過激な表現で、命を落とすかもしれませんよ。と書いたのか。月の娘には銃を。森の娘は爪を。

 

ギリシャ神話で、ナルキッソスのお話があります。エコーという妖精の悲恋物語と続いているお話なのですが、女神に呪いを掛けられたナルキッソスは、湖に映る自分自身に恋をしてしまいます。ですが、その恋は実るはずもなく。恋した相手は、何も語ってくれませんし、触る事もできません。ある日、思い余ったナルキッソスは、湖に映る恋しい相手にキスをしようとして、湖の中に命もろとも落ちてしまいました(恋するあまりにやつれて、やせ細り死んだという説やそのほかにも諸説あります)

ここで言う湖は、鏡です。そしてナルキッソスは、恋しても実る訳もない相手に恋しています。そこに、何の実りもありません。見返りもありません。何よりも、相手に自分自身が「必要」とされていないのです。スキの共有ができていない。空想の中で、色々思うばかり。こうだったらいいのに。ああだったらいいのにと。自己愛の究極の形かもしれませんが結局、自分自身しか見てはいないのです。

だから、約束のキスを与えることも、受け取ることもできない。その鏡を破らないと。ナルキッソスのように虚構のスキでは、キスは出来ませんし、命を落としてしまう。だからこそ、スキは本物?本当にすきなの?と問いかけているのかもと、思いました。が…もし、銀子と紅羽の事だとするならば、種族の違いや、お互いの社会ルールを鏡に例えて、それを破る覚悟はあるのか?と問いかけているようにも思えます。

お互いの群れの掟・ルールを破る訳ですから、はっきり言って命がけです。ましてや種族の違いも乗り越えなければいけません。やはり最後の爪と銃は、お互いが属している社会のルールを現した物の様な気がします。

熊は人を食べる生き物。人は熊を排除する生き物。通常であれば、相容れられる関係ではないのです。

それを打ち破るのは傲慢。大きな罪。自分の欲求だけで、他のヒトの事は関係ない。自己の満足のために掟破りをすれば、どうなるのか。とも理解できますが、人間の心理として考えると、人間関係を構築していくことに、様々なエゴ・傲慢は誰しも少なからずあると思います。その傲慢を指しているのか、自分の気持ちばかりを前に押し出す傲慢さを指しているのか…。

 

またまた余談ですが、獣というものは「記憶」を持たない生き物らしいです。過去に起きたことは、基本的には綺麗に忘れる。というより、覚えてるという必要が無い。らしいです。真偽の程はわかりませんが、まさに3話で言っていた蜜子の台詞そのものだなぁと思いました。彼女は獣だったのですから、自らの本能ですごしていただけ。クマのルールの上では、悪クマでもユリダークでもなんでもないのです。寧ろ正しいのです。ヒトが勝手に透明な嵐を作り、排除の儀で餌を選び、与えてくれているのです。群れていないので、襲いやすく食べやすい。これ以上の事はないでしょう。スキを諦めない頑固な心を持った娘は、より美味しい。スキを包括しているから?このあたりは、把握しきれてないですが…。クマ世界においては、銀子やるるの方が異端なのかもしれません。蜜子とこのみがなぜ壁を越えたのか?という謎は残りますが。

 

星のペンダントも、意味深です。森の娘は「ペンダント」と言う認識がなく、星が落ちてきた!と思っています。ペンダントを見たことがないのか、そういうものを知らないのか。輝く星。と思う辺りとても可愛らしいなぁと。

そういえば、紅羽の苗字にも「輝」が入ってますね。

 

月の娘が、お母さんの星のペンダントを…と言っている辺り、澪愛の星のペンダントの事だと思います。この星のペンダントは、必ずこの先の鍵になってくると思います。銀子はいつ、このペンダントを手にしたのか。ポイントはココです。澪愛が殺された時なのか、そうでないのか。

 

今の所、提示されているもので考えると、紅羽と初めて会った時は、銀子はペンダントをしてません。紅羽・銀子・澪愛と写真を撮った時も、澪愛がペンダントをしています。その後、絵本を書いたとしたら、その時点ではもう、銀子と紅羽は、会えない状態になってしまっていた。と考えたほうがいいのかな?と思います。だとすると、ペンダントはこの時点で、もしかしたら銀子に渡っていたのかも?と推測もできます。だから、星のペンダントを落とした。と絵本に書いたのかな?と。

ペンダントを渡したのは、澪愛なのか、紅羽なのか。

4話で銀子はるるに、こういっています。

「私は平気。あの子にスキを貰ったから。それを返しに行く。会って私のスキを届ける。約束したんだ。会ってもう一度キスをするって。そう、約束のキス。きっと私を待ってる」

銀子の言うスキは「星のペンダント」なのでしょうか。だから、スキを返すと同時に、スキを届けるという形になるのでしょうか。

 

 

某ブログ様で、クマリア様=ジャッジメンズのライフ・セクシーでは?というのを拝見しました。確かに「あなたのスキは本物?」という台詞もかぶりますし、色々と被る台詞があります。「傲慢・大きな罪」このあたりも、ライフセクシーから、断絶のコートで銀子は言われています。

ですが、この絵本の作者は澪愛です。クマリア様もそうですが、何故澪愛が熊側の概念だと思われるものを知っているのか?というのが、とても大きな謎です。ライフセクシーの台詞は、私達が見ている時間軸で言えばですが、澪愛のほうが、先に絵本に書いています。この先、ジャッジメンズの謎も解き明かされるとは思います。もしかすると澪愛よりも先に、あなたのスキは本物?と、誰かに問い聞いているかもしれませんが…兎にも角にも、澪愛とライフクール(ジャッジメンズ)が、同じ台詞を書いて言っているのは、どういうことなのか。

 

1、澪愛も熊だから知っている。

2、銀子から聞いた(ただし、銀子・紅羽・澪愛と一緒に居る頃、銀子が人間の

        女の子に化けれないと、会話が出来ない?)

3、他の人熊に聞いた

4、たまたま偶然に一致した

 

4は無いはずです。

1だった場合、あなたのスキは本物?という台詞をライフクールが度々言っていますので、もしかすると、澪愛=ライフクール?となるかもですが、かなり疑問です。そうでないにしろ、澪愛が熊という根拠が少し弱いかな?と言う気がしないでもありません。

3なのですが。もしこれだった場合、どの熊から聞いたのか?という部分で大きく疑問がでます。今の所、登場人物にあてはめると、ユリーカしか居なさそうです。が…。ジャッジメンズも、熊であり人間でありという存在です。一応ですが…。あり得なさそうですが、もし、ジャッジメンズの誰かが、紅羽の父親だとしたら、スキは本物?だとか、クマリア様あたりの存在も、きっと聞いてると思います。ですがそうとは思えないのですし、なんだそれは?!ってなりそうですので…一応こういう事も妄想できるよね。程度のレベルでしかないです><

一番ありそうなのは、2なのですが、小熊状態だった銀子がヒトの言葉を話せるのか?と言う1点に尽きると思います。初めて紅羽と会った時に、紅羽は銀子に話しかけてますが、銀子が理解していたのか。銀子もクマリア様…と呟きますが、果たしてそれは人の言葉なのか。

 

 クマのスキとヒトのスキ。価値観も違えば、生態系も違う。この辺りの壁は、どうなっていくんだろう?そもそも、クマって何?熊だよね?という、結局1話を初めて観た時、抱いた疑問…振り出しに戻ります。

ここは、一番回収してほしい謎です。

 

クマリア様が友達の扉と言った時の絵は「百合の花」でした。なんらかのメタファーなのか、それとも単に百合にしただけなのか。

手の中に百合の花が現れて、星屑になり流れていきます。森の娘と月の娘を結ぶかの様に。

クマリア星の大爆発。クマリア流星群。このあたりを彷彿とさせます。もしかすると、この謎も澪愛は知っているのかもしれません。

すんなり考えると、クマリア様=澪愛という構図がしっくりくるのかも?ですが。

断絶の壁が出来た時期と、澪愛が殺された時期。銀子がペンダントを手に入れた時期。本筋の鍵はどうやら、澪愛が握っているように思います。

 

一番つかめないキャラクターは、ユリーカです。澪愛と親友だったと公式にはあるのですが…。私の過去日記を読んでも、ユリーカについて二転三転してしまっていて、物凄い迷走ぶりに爆笑してしまいます><

骨が折れそう…と思っていましたが、迷走を少しでも本筋に戻すためにも、時系列をキチンと書き出したほうがよさそうです…。

 

銀子の過去の大きな罪は、断絶の壁を越えて紅羽と会っていたことでしょうか?ヒトを食べずに仲良くしていたことでしょうか?熊はヒトを食べるもの。食べるものなのです。やっぱり、1話2話あたりに、大きなヒントがごろごろ落ちている気がしてなりません…。ただ、今の時点で見たところで、それがヒントだった!とは気づけそうにありませんが。