ユリ熊嵐 9話 あの娘たちの未来~その2

 

f:id:rarafoutune:20150311005022j:plainBパートは、けたたましいサイレンと共に始まります。あのクマ警報です。どうやらまた、クマが出た様なのですが。

いつもの花壇とは違い、螺旋階段での事件です。Aパートで、ゴリゴリギャルルルルルと言う咀嚼声と、被害にあっていた生徒。紅羽では?と思っていたのですが…。靴もやはり紅羽と同じ物の様なのですが、一体どういうことなのか、全くわからない。と言うのが正直な所です…。

 

f:id:rarafoutune:20150311005411j:plain栗拾いをする、百合川このみ。

「これは、先日クマに襲われ亡くなった、針島薫さんのロッカーから発見された写真です」

カシャ・カシャ・カシャと映写機の様なモノで、このみの写真が映し出されていきます。

f:id:rarafoutune:20150311010128j:plain「ごらんの様に、百合川このみは実は、人に化けたクマだったのです!」

 

案外簡単に、ヒトからクマへ変わるんだなぁと、思わずにはいられません。しかもなぜ、薫のロッカーにこのみの写真が?という疑問。ユリーカから聞いていたのかもしれません。だとすると、蜜子の事も知っていたのでしょうか。このあたり、何かモヤモヤとしてしまいます。クマが化けているとわかっていて、放置していたのですし。ユリーカも薫も。ユリーカはいいとしても、薫はヒトなのであれば「クマ退治」をしようとは思わなかったのでしょうか?クラスメイトがクマに襲われていると言うのに。このあたりに「排除の儀」の巧妙さがあったりするのかもです。

 

このみの栗拾いというのも、何か意味があるのかしら?と考えたのですが、思いつくのは「火中の栗を拾う」ということわざ位で、この写真に映し出されているこのみの行動は、特に意味はないのかなぁ?と思いますが…。火中の栗を拾う。という意味であれば、蜜子に遠まわしであれ、なんであれ、うまい具合にそそのかされて(?)紅羽を食べようとした。事かもです。蜜子は結果、ある種邪魔になったこのみを片付けられたのですから。あとは、名前が「このみ」なので「木の実」なのかもですが…。木の実でしたら、絵的に栗というのはインパクトありますし。りんごや柿、桃よりかは。

 

 

f:id:rarafoutune:20150311010818j:plain「チョー恐ろしい事です」

 

Aパートで「チョー」「チョー」言っていたのは、彼女だったのですね。蝶子という名前から、生物の「蝶」を連想していましたが、まさかの口癖が「チョー」だったとは!

f:id:rarafoutune:20150311011004j:plain「クマは人のフリをして壁を越え、この学園で私たちのともだちを次々と犠牲にしていったのです!」

ざわめく生徒達。と言うか、半数近く犠牲になってるんですが…。空席だらけの教室。普通なら学級閉鎖級です。そしてもうひとつ、紅羽が排除の儀に参加しています。

4話で、鬼山江梨子が銀子とるるに、こう言っています。

「「排除の儀」なら、あなたたちはまだ参加できないわよ?透明な嵐に加わらないと「ともだち」じゃないから」

紅羽は、透明な嵐に加わったのでしょうか?

 

「皆さん、これでわかりましたよね?そう…この教室の中に!私たちの中にクマはいるっ!」

「クマは私達から、チョー浮いている!クマは私たちの色に染まらない。クマは空気の読めない悪です!」

f:id:rarafoutune:20150311012015j:plain排除の儀のターゲットの法則が、新たに更新されました。=悪=クマ。クマが追加です。この儀式、一体何のためにやっているのでしょうか。クマを見つけて、駆除しましょう!という感じではありません。私達の中で浮いている、空気が読めないから排除しよう!と言っています。もしかすると、クマと言う存在の謎が、このあたりに秘められているのかも?とぼんやりとですが感じたりします。

 

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排除の儀の様子を、ジャッジメンズがのぞいています。

「また、アレ(排除の儀)が始まりましたね」とクール。「うん。でも今回は、椿輝紅羽も同席してるよ?」とビューティー。

それはそうと、校舎の外観がこれだけ近くに見れるのは、初めてかもしれません。窓枠に細工されている金枠が、建物の高級感を出しています。

 

f:id:rarafoutune:20150311013043j:plain「今更……ともだちとは…。椿輝紅羽への排除は解けたのでしょうか」そう問いかけるクールに「さぁ…どうだろう」と、すまし声で答えるセクシー。

 

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え?!セクシーさん?!覗いている部屋が違いやしませんか?!え?

それでも声「だけ」は、クールに続けて話します。」

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「いつだって、彼女たちは悪と言う排除の対象を求めている。それがヒトだろうと、クマだろうと、関係ない。一致団結して、何者かを排除するという儀式は、私達という見えないつながりを実感させている…」

おっしゃっている事は、物凄く真面目なんですけど。画面に映っているのは、女の子同士のいちゃいちゃ。ユリユリしいどころか、モロ百合です。ジャッジメンズは、いつからギャグ枠に><

f:id:rarafoutune:20150311013736j:plain「…んんはっ。さて…そろそろ決着がつきそうだ。それが、セクシー!シャバダd…」

例の言葉を続けようとすると、ガタンっ!と言う音ともに「ぴーーー」と、何かの音が鳴り響きます。視界も真っ暗です!どうやら、双眼鏡のお金が切れたようです。いい所で!

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「…コイン…追加、しますか?」とクールに言われて

「…うん」と答えるセクシー。ガチャンとコインを追加しますが

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「…ッ シャバダ…ドゥ…」

残念!既に彼女たちは居なくなっていました。覗き見は罪です!ギルティー!

 

またまたいつもの余談になりますが…。このジャッジメンズの一連のシーン、物凄く「ウテナ」を思い出しました。効果音といい、流れといい、雰囲気そのものが、ウテナ。今までの中でも、彷彿としたエピソードや構図はありましたが、視覚的にこんなにウテナを感じられたものは、私の中ではありますが、ここでした。また、ピングドラムでも似たようなシーンがありました。病室から陽鞠が、真沙子の送った刺客に対して、紙で「生存戦略」と言うシーン。このあたり、幾原監督からのユリ熊嵐を視聴している、幾原監督ファンへのサービスなのかもしれません。

 

ジャッジメンズが、あまりにもインパクトがありすぎで忘れかけていましたが…。排除の儀は続いています。大木蝶子を議長として。

 

「それでは、排除の儀を始めます。私たちの中に潜んでいるクマを指名してください。Let's Search Bear!!」イーヴィルから、ベアーに変わっています。

f:id:rarafoutune:20150311015958j:plainなんと、亡くなった筈の「針島薫」の名前まであります。紅羽だけが、青に染まっていません。透明な嵐に混じらず…。なのでしょうか?この状況だけを見れば、混じっている様にも思いますが。

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流れるクラスメイト達の名前。その中に銀子の名前を見つける紅羽。その名前を見て、紅羽は息を飲みます。

蝶子が言います。「クマを匿う人も、同罪ですよ!」

ボタンを押す事を、ためらう紅羽。心の中で呟きます。「ねぇお母さん。あの日私は…どうすれば良かったの?」

 

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あの日とは、銀子に銃口を向けたあの嵐の夜。雷鳴に、るるの声がかき消されたあの時。

ここでやっと、8話ラストの邪魔邪魔ジャマーな雷鳴で聞こえなかった、るるの告発がわかります。

「くれちん。私知ってるよ。銀子が純花ちゃんに何をしたか。そう…銀子は、大きな罪を犯した。銀子は純花ちゃんを…」

f:id:rarafoutune:20150311020710j:plain「見殺しにしたんだ!!」

 

予想通りといえば、それまでなのですが…。実際、こうして映像で流れると、何故かホッとしました。物語の流れ的には、ええぇ!?という感じかもしれませんが、視聴者側からすると「あーやっぱりそれか」と言うような安堵といいますか、予想が大きく外れてなかった安堵感と言いますか。

それを聞いた紅羽は、銀子に「本当なの?」と、聞きます。銀子は…「本当だ…がうがう…」と答え…「私は、泉乃純花を…殺したっ」と言ってしまいます。

 えっ!「見」が抜けてるよ!この一文字で、雲泥の差だよ!銀子さん!

f:id:rarafoutune:20150311021212j:plain「純花を殺したのは、百合園蜜子。それは間違い無い事なのに…。何故銀子はあんな事を…」

「一体何が真実で、何が嘘なの?」

 

自室で膝を抱え、葛藤する紅羽。排除の儀からのワープで、この葛藤中の紅羽は、一体どの時系列での出来事なのかが、さっぱりわかりません。銀子を撃った事は間違い無い様ですが…。それに加えて、るるの行方もわかりません

 

そこへ、いつもとは違う着信音が紅羽のスマートフォンから流れます。いつもよりも、静かな音。ウィスパーボイス。

電話に出た紅羽。電話口の向こう側からは、着信音とは対照的に、ボイスチェンジャーで声色を変えた不気味な声が、話しています。

 

「あなたのスキは、ホンモノ?」

 

f:id:rarafoutune:20150311022114j:plain「これは、断絶の壁からの挑戦です。椿輝紅羽。あなたのスキがホンモノなら、百合の花壇へ行くがいい。クマが貴方を…待っている」

声の主はユリーカ。「そこにあの子…銀子がいるのね?!」答え、問う紅羽に「クマにその身を委ねれば、あなたのスキは承認される」

 

紅羽は、銀子と話をするため、花壇へと走ります。今度こそ、本当の事を確かめる!と。ええぇ?!ちょっと待って!銀子の事を撃ったのでは?ならば、生死不明でしょうに。なのに、本当の事を確かめるとか出来るの?と言いたい所です><あの屋上での出来事。まだ、全部私達側には開示されていないのかもです。

 

f:id:rarafoutune:20150311022452j:plain「はぁっ。私達を装い、偽電話で椿輝紅羽を呼び出すとは…。箱仲ユリーカは有罪。ギルティーですね」クールさん、覗き見もギルティーです><

「うーん…でも彼女ぉこの日の為に、僕らと契約したんだからさぁ。まっ、覚悟の上じゃない?キラキラァ~」

「全てはクマリア様の思し召し…。それがセクシー!シャバダドゥ…」

 

ビューティーは、クマの弁護人ですから、ユリーカを弁護したのですね。クールは検察官ですから、ユリーカを断罪、ギルティーとした。セクシーは、その中間と言ったところでしょうか。

彼らの言う「契約」とは「ユリ、承認」の事なのでしょうか。

 

紅羽は走っています。

「銀子、私たちの間に何があったの?私は、真実がしりたい!」

ここの音楽は、疾走感があり何が起きるんだろう?と言う、不安とドキドキ感が高まるような、そんな曲でした。ファイナルファンタジーっぽさも、どことなくあった様に思います。

その音楽が鳴り響く中、場所はユリーカの執務室へ移ります。手元には Yuri Friendと書かれたフォトフレームから出されたユリーカの写真。やはり、足元にはクマ状態のユリーカが映っていました。澪愛と紅羽の写真と同じです。二つ折りにされて飾られていました。

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「ねぇ澪愛。あの嵐の夜の事、覚えてる?私はあなたを食べた…。あなたを私と言う名の箱に入れる為に」そういいながら、取り出した写真を器用に折って行きます。

「でも私は、満たされなかった…。空っぽのままだった…。ふふっ…。だって、あなたのスキは、全部あの子に捧げられて居たんですもの。だから私は、待つ事にしたの」

澪愛を食べる事で、澪愛の中にある「スキ」も一緒に取り込めるはずだったのに、既に澪愛のスキは、紅羽の中に移ってしまっていた。だから、澪愛を食べてもそれはもう、澪愛のスキが無い澪愛なので、ユリーかは満たされなかった。空っぽのままだった。こういうことだと思います。少々ややこしいですが…。なので、澪愛のスキが存在しているはずの紅羽の食べる事は、澪愛のスキを自分の中に入れること。そして満たされるはずだ。というのがユリーカの思考だったのだと思います。

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 「あなたのスキを奪った、あの娘が成長するのを…」

 

この台詞、前回8話で一番矛盾を感じていた所です。断絶のコートでユリーカは「紅羽の成長を見届けたい」と言いました。今回は「成長を待った」

 

「成長を待つ」というのは、待っているだけ。「成長を見届ける」というのは、成長している過程も含めて、見ている状態。そこにある感情は全然違う様に思います。

ユリーカの本心は、どちらだったのでしょうか。本人が意識しているものは「待っている」の方だったと思います。ただ、ユリーカの目的、紅羽を食べる事というのが、私の中でではありますが…この後に起きる事で、かなり変化しました。

 

「あなたのスキが、あの娘の中で少しづつ花開いて行く事を。色を失った透明な世界で、私は待った。待って待って待ち続けたわ。そして…ついに!」

 

f:id:rarafoutune:20150311030211j:plain「花が咲いた。私は今日、あなたの娘を食べる。椿輝紅羽を食べるわ!ギャルルルゥゥゥッ!」

 

紅羽が「スキ」という感情を理解し、ユリーカが経験した、スキというモノを奪われる喪失感や痛みを、紅羽にも経験させた。と言う事なのでしょう。それを達成できた今、紅羽を食べようとしている。澪愛のスキ=紅羽の成長。という構図なんだと思います。澪愛にそっくりに成長した紅羽。その中には澪愛のスキがある。

写真で折られた百合は、ユリーカが求めている物は澪愛であって、紅羽ではない。紅羽は代用でしかない。模造品という意味のモノなのか、写真であれ、折り込んでしまい、写っている澪愛とユリーカを同じモノの中に閉じ込めてしまうと言う意味があるのか。この百合の折り紙にも、何かしらのメタファーな気がしています。

 

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「銀子!どこなの?!銀子!」花壇の前に来た紅羽は叫びます。それに呼応して、ユリーカの荒い息遣いが聞こえてきます。「フッフッ…ギャルルル…」

 

そして、紅羽の前にクマ状態のユリーカが、姿を現します。クマを見た紅羽は

「これは…。違う。このクマは銀子じゃない」と後ずさります。この靴、やはり中盤で食べられていた生徒と、同じ気がするのですが…。

「あぁ澪愛、この娘は貴方にそっくり。この髪、この瞳、あなたの匂い!」

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 「さぁ!椿輝紅羽!あなたのスキを、私に頂戴!!」

 

 

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 「ギャルルルルルルゥーッ!!私たちは、一つになるのよー!!」

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ここで、あの「彼」の靴鳴らしを、ユリーカも見せました。

 

オズの魔法使いでは、ドロシーが履いていた魔法の靴。この靴は、オズの国でしか使う事はできません。カンザスへ戻ると、靴は消えているのです。魔法が通用するのは、オズの国だけ。彼とユリーカが鳴らすのにも、必ず意味があるのだと思います。8話だけ観ると、彼と言う存在の「個性」かと思ったのですが、9話でもユリーカが引き継いで居る所を見ると、そうでもなさげです。ただ、彼もユリーカも、同じ意味合いで靴を鳴らしてんだとは思います。

夢の時間の始まりの合図なのか、どこか違う場所(物理的なものではなく、異空間等)へ行く合図なのか。彼が靴を鳴らしたのは3度。1度目はユリーカを「見つけた」時。2度目はユリーカが「花嫁衣裳」を着た時。3度目は、生まれたての紅羽を見て、ユリーカがスキを諦めた時に、靴の音と同時に彼の声が聞こえました。3度目は、ユリーカが箱の中に入れた後ですので、存在しないヒトからの声と言う事になります。

今回は、この靴の合図で…

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 紅羽の服が、引き裂かれていきます。なぜか無抵抗な紅羽。一言も声を発さず、されるがまま。

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 そして、2,3秒後には全裸です。

紅羽が電話を受けてからここまで、物凄いスピード感で、あっという間でした。テンポが素晴らしかった。

f:id:rarafoutune:20150311032420j:plain「さぁうけとって…。椿輝紅羽。これが…箱の花嫁への口付けよ」

なんとなく、紅羽の目がもう、朦朧としていると言いますか、焦点が合ってない気がします。一体どういう状態なのか。このシーンは、断絶のコートで銀子とるるが繰り広げていた、一連のシーンと被ります。全裸の紅羽からユリの花が現れて、雌しべを舐めているアレです。まるで、あの時の紅羽と同じ様な状態。食べると言う事には、一つの意味ではなく、色々な意味が包括されているのかも?です。

 

ユリーカがキスをしようとしたその時。

 

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このシーンが来た時、びっくりしました。どこかでユリーカは排除されるだろう事はわかっていましたが、いきなりの発砲シーンでしたので、本当に心臓が「ドキっ!」として、そのあと胸が苦しくなりました。そして、あまりの刹那さに胸が痛みました。本当に素晴らしかったです。あのテンポがあったからこそ、いきなりすぎて驚愕したのだと思います。

 

ギャルルルルルルぅ…」

 

f:id:rarafoutune:20150311040723j:plain「はっ」と目を覚ます紅羽。何故か服は着ています。脱がされてたのは、何だったのでしょうか。そこに蝶子率いる討伐隊が。

「チョー危ない所だったわね!」

「大木…さん?…」

「クマが逃げたわ!追うわよ!」

ユリーカを撃ち、紅羽を助けた討伐隊は、ユリーカクマを追い、その場を去ります。

その直後、紅羽はユリカモメのバッチを見つけます。

 

 

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「ユリーカ!ユリーカ!ユリーカ!」

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撃たれて、息も絶え絶えのユリーカの所へ…。

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なんと、食べたはずの澪愛が現れます。

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澪愛を見たユリーカは、手を伸ばし…その手を澪愛が受け止めます。

「あぁ…澪愛…。私を見つけてくれたのね…。会いたかった…。あなたを食べたあの嵐の夜からずっと…この日の事ばかり、考えていたわ…」

「私、あなたへ返さなきゃいけないモノがあるの…」

 

引き出しの真ん中の箱に、月の娘と森の娘…そう…あの絵本の続きが、入っているわ…。あぁ…あれは、果たされなかった私たちの愛の夢だった…」

f:id:rarafoutune:20150311041621j:plain「だから…どうしても欲しくて、盗んでしまったのっ…。ごめんなさい…。」

f:id:rarafoutune:20150311041714j:plainユリーカからの告白を聞いて、静かに微笑む澪愛。

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 その笑顔を見て、ユリーカも安心したのか、うれしそうに…微笑み返します。

 

 

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ここで、今回9話のトップにもってきた画像になります。とても切なく、なんて苦しい想いなのかと心から思いました。観ようによったら、スキな人を自ら食べて殺し、挙句の果てに、その娘まで手にかけようとしたクマ。となると思います。事実そうですし。ですがそこに、ユリーカの悲劇があった。愛し方や愛され方を教えてくれたのは彼。彼が教えてくれた愛し方、愛され方しか彼女は知らなかった。物凄くそれは、歪んでいましたが、ユリーカなりに、精一杯愛そうとした。スキを貫こうとした。でも、それは叶えられなかった。叶えられなかった時、ヒトであれこの世界のクマであれ、どう逃げ場を作ればいいのか、わからない事もある。時間が解決してくれるとか、別のスキな人が出来たら…とか、そう、物事は…感情は簡単に動かす事は出来ません。ですが、誰しもそういった様々な経験を踏み、生きていきます。乗り越え方は人それぞれであっても。ユリーカは、それが出来なかった。スキな人への想いを秘めたまま、生きていくのも良かったかもしれません。ですが、それももう出来ない。秘めていたとしても、スキな人その物の存在を、自らの手で消してしまったのですから。大きな後悔が、彼女を襲ったと思います。そして次に起こした行動は、自分への言い訳。スキの証を、簡単に違う小娘クマにあげたから、殺した!と。ですが、心はむなしいまま。それは、スキが違う箱へ入ったからだ。そう、澪愛から紅羽という箱に、澪愛のスキが入ったから、自分は満たされないのだと。だから次に、その空しさを埋める言い訳として、紅羽をあてがおうとした。ですが、それさえも空しさしか生まない。

ユリーカは、この事を理解していたと思います。箱になったのは、生きる理由が欲しかったから。紅羽の成長を見届け、きっとこの瞬間、澪愛と会う為だけに生きてきた。紅羽を食べる事は、澪愛のスキに会える事だと思っていたはずなので。

ジャッジメンズとの契約をした時、ユリーカが覚悟した事は、自らの命を落とす事だったのでは?と思いました。本来の目的は、紅羽を箱の花嫁にする事ではなく、澪愛と会う事。こちらではなかったのでしょうか。

もしかすると、紅羽のスキが成長すると言う事は、紅羽にとって大事な人が出来ると言う事ですから、紅羽自身も孤独ではなくなり、見届ける必要もなくなる時。という意味もあったのかも?と思ったりします。ユリーカ自身、大事な物は箱の中になんかは無い。箱から出なきゃ、何も「見つけられない」。澪愛とであった時に言われていた事を、最期に本当の意味で、知れたんだと思います。

 

「そうね…。あれは、あの娘たちの運命。果たされるべき未来…」

「ねぇ澪愛…。私ね…貴方の事が、本当に…本当に…」

 

 

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「大好き…」

 

この一言を伝える為に、透明な世界の中、空っぽになりながらも、生きてきたユリーカ。たった一言の「大好き」を。方法は、かなり歪んでいました。それでも、ユリーカは決して、スキを諦めては居なかった。それを最後の最期に伝えられたのですから。

 

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力なく、手が落ちた後…。抱きしめて居たのは紅羽だと言う事がわかります。澪愛と本当にそっくりな紅羽の胸で、その人生を閉じました。ユリーカは、幻想を見ていたと言う事だと思いますが、彼女の中では、ちゃんと澪愛に会えて居たんだと信じたいですし、きっとそのはずです。

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デスクには、先ほど折られた百合の花が残されているだけ…。

 

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今回もCパートがありました。

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安らかな表情で、旅立っていったユリーカ。ソファーに寝かされたその胸には、あの鳥のバッチではなく、自らの手で折った百合を抱いています。紅羽が持たせてくれたのでしょう。大事なともだち、大好きなともだち、澪愛と写った写真を。

何か意味があるはずだ。と思っていましたが、このシーンの為の折り百合だったのかなと思います。とっても綺麗な伏線の流れで、ユリーカにしたら、これ以上ない餞になったはずです。

 

ユリーカの告白を聞いた紅羽は、真ん中の引き出しを開けます。予告であった、ユリーカが手にしていた物は絵本の続きでした。

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絵本の続きを読んだ紅羽は、驚愕します。

「そんなっ…。ありえないわ!」

 

ここで、9話は終わりです。

 

 

 

 

 

今回は、「幻想」や「幽霊」がでてきました。蜜子、澪愛。

嵐が丘学園の名前でもある、「嵐が丘」でも、キャサリンの幽霊が出てきます。ヒースクリフは嵐の中、キャサリンを見つけて、狂い、命を落としてしまいます。澪愛の幽霊は、ユリーカが見た幻想であって、狂うとは少々意味が違いました。ですが、銀子は蜜子によって、ほぼ幽霊に肉体をのっとられた状態になったのかな?と言う感じになりました。今後、自分の中に欲望を取り込んだ銀子はどうなるのか。

蜜子は、銀子が今居る場所は、スキを試す場所だともいいました。銀子が欲望を取り込む事で、紅羽とのスキを試す試練を与えたのかもです。

 

ユリーカの名前でもある「見つけた」と言う言葉。今回はたくさん出てきました。見つけると言う事は、自分の中に他者を認め「承認」する事でもあります。それがモノであっても、そのモノを「確認」する事です。見つけなければ、存在しない。見つけて欲しいと願っていたユリーカは、見つけてもらえたのでしょうか。嵐が丘でも、ヒースクリフやキャサリンは、様々な物を見つけます。彼らは、恋人以上の一心同体。魂の片割れ。だからこそ、恋愛はできなかった。キャサリンは現実を見、ヒースクリフはそれが理解できない。そして憎しみが生まれる。二人の間ですれ違って行きました。澪愛とユリーカの「スキ」の形が違う様に。

ユリーカの話は、嵐が丘の様に切なくもあり、儚いものでした。ユリーカはヒースクリフだったのでしょう。ただ、最期はとても美しかった。

 

るるの存在も、気になります。彼女が告発した意図は、真意は何だったのでしょうか。

真実を伝えなきゃ、約束のキスはもらえない。というルールがありました。るるは真実を、告発文で知る事となりましたが、銀子の代わりに紅羽に伝えた。と言うのは何か違うような気がします。それならば、もう、帰ろう?とは、提案しないはずですし、ましてや真実を、るるがしゃしゃり出て言う様な事でもないはずですから。

ただ、るるの願いは、銀子のスキがかなう事。それを考えると、真実を伝えなきゃるるの願いも叶わない。だからこそ、るるの口から伝えたとも受け止められます。

ですがやはり、8話・公園での銀子とるるのやり取りを観ていると、るるは銀子と元の世界に帰る事を望み始めていた。と言う方が近いと思います。

 

そうすると、るる自身も罪を犯した事になります。るるが告発する事で、銀子が撃たれたのですから。

欲望にしたがったるるは、今後どうなるのでしょうか…。今までの流れでいうと、欲望に身を任せた人達、このみ、蜜子、ユリーカ、薫、彼、皆その身を滅ぼしています。

銀子とるるは、欲望に飲み込まれる事なく、スキを貫けるのでしょうか?

ですが、ある面においてはですが、欲望も大事だと思いますが…。ブランチの言う通り「死の反対は欲望」であり、蜜子の言う通り「生きている証」でもあります。それに飲み込まれてしまわなければ。

 

やはり、大きな謎は残ったままで、あらたな謎が出てきました。

Bパート冒頭で食べらて居たのは、いったい誰なのでしょうか。物凄く気になりますし、どうみても紅羽としか思えません。そのあと、紅羽も排除の儀へ参加しています。何故、参加しようと思ったのか。

ターゲットが、人からクマへ移ったから?なのでしょうか?

 

絵本の続きも、気になります。何が書かれているのか。二人が旅立てる世界。ユリーカが果たせなかった愛の夢と言えるような展開。

 

愛の夢というと、リストですよね。前々から感じていた事なのですが、ユリ熊嵐は、やたらと「3」と言う事に拘っている様な気がしてならないのです。これは、1話目から感じていた事でした。

リストの「愛の夢」も、別名「3つの夜想曲ノクターン)」と言われています。

1部は「高貴な愛」2部は「私は死んだ」3部は「おお、愛しうる限り愛せ」となっています。有名なのは3部。フィギュアスケート浅田真央選手も、この曲を使用していました。

この3部には、歌詞もついています。この歌詞は、詩人・フェルディナント・フライリヒラートの詩「愛しうる限り愛せ」を元にされています。愛の夢自体も、この詩が元で作曲されました。

「おお、愛しうる限り愛せ!
その時は来る その時は来るのだ
汝が墓の前で嘆き悲しむその時が

心を尽くすのだ 汝の心が燃え上がり
愛を育み 愛を携えるように
愛によってもう一つの心が
温かい鼓動を続ける限り

汝に心開く者あらば
愛のために尽くせ
どんな時も彼の者を喜ばせよ
どんな時も悲しませてはならない

言葉には気をつけよ
悪い言葉はすぐに口をすべる
「ああ神よ、誤解です!」と嘆いても
彼の者は悲しみ立ち去りゆく」

 

旋律が3部どれもロマンティックで、美しく、ノクターンと言われるように、静かでありながらもとても繊細で洗練されています。

そして、3つの様々な愛の形が表現されています。ですがこの愛と言うのは恋愛云々というよりも、より壮大で広範囲での愛。所謂、人間的な愛、宗教的な愛。例えるならば、クマリア様的な愛。と言った意味合いのほうが強い愛です。

 

私はどうしても、ここは銀子や紅羽、澪愛やユリーカよりも、るるを彷彿としてしまいます。特定の誰か。というよりも、ユリ熊嵐に登場している人物すべてに当てはまる様な歌詞かもしれませんが、それでもるるは突出して、当て嵌まる気がするのです。

4話でのるる、8話でのるる。

 

 

澪愛とユリーカが出会った頃は、クマとヒトは断絶されていませんでした。クマ状態であっても、普通に一緒に共存できていたのでしょう。

それが断絶され、共存できなくなってしまった。だとしたら、違う世界…クマとヒトが共存できる世界へ行くしかありません。もしくは、どちらかが、どちらかになるか。銀子はヒトになりました。じゃあ紅羽は?となります。やはり、紅羽がクマになるのでしょうか?

ユリーカが夢みたものは、澪愛と共に生きる事。スキを共有する事。だとすると、それに近い展開が、絵本には書かれているのかもです。

 

あと、今更?感満載なのですが…。ユリーカは、澪愛の事は「澪愛」と呼ぶのに、紅羽のことは、本人には「紅羽ちゃん」と呼びますが、それ以外の時は「椿輝紅羽」と、フルネームで呼ぶんだなぁ。と思ったり。他の人達も、誰かを指す時にはフルネームで呼んでいたかも。紅羽も、蜜子を「百合園蜜子」と呼び、純花や銀子やるるは名前だけ。名前を呼ぶ人との距離感かも?ですね。そう考えると、銀子は紅羽との距離感をかなり縮めたのかも知れません。

 

 

またまた、気になるラストで、1週間後が待ち遠しくて仕方ありません><

きっとラストに向けて、今回以上のラストスパートを観られると思うとワクワクです。それと、EDの絵もまた、変わりそうですので、どんな絵になるのか楽しみです。次回はもう、ラストまでの絵になるはずですので、どういったものが描かれるのか。ここも気になるポイントです♪